あれからあっという間に日が過ぎ。


盆を過ぎてもう9月が近づいてきていた。


詩織と付き合うようになって、怒ってるみたいに見えていた表情が柔らかくなったとみんなから言われる。


けれど、詩織と付き合っていることは課のやつらはもちろん、会社にも内緒だ。



堂々としていたい。


けれど、周りが皆好意的なものばかりではないだろう、と2人で考えて決めた事だ。


ようやくそんな関係に慣れてきた頃。



週末を一緒に過ごすのが当たり前の俺たちに邪魔者が現れた。



「ちょっとぉ!いつの間に詩織ちゃんとこんな事になってんのよー‼︎」



突然現れた咲にせっかくの時間が台無しにされてしまった…。



「咲、うるさい。」

「祐太朗!あんたあんな事言ってたくせに手が早すぎるー‼︎」


いちいちやかましい奴。わぁわぁ騒ぎ立てて、台風みたいな感じだ。


「咲さん、あの、わたしが好きだって言ったんです、だから祐太朗さんが手が早いとかじゃないんです」



見かねた詩織がそう言うと、咲は詩織の肩をがっしりと掴んで脅すように言った。


「あんなのでいいの⁉︎女々しいわよ⁉︎しかもウザいわよ⁉︎更におっさんよ⁈」



最後の言葉をことさら強調して言うもんだから頭に来る。

仕方ねぇだろ、そんなの。


「祐太朗さんはおっさんなんかじゃないです、素敵です、カッコいいです。」


カッコいい…なんか詩織に言われたら照れるな。


「か…詩織ちゃん、目大丈夫?祐太朗の何処がカッコいいの?
確かに身体はマネキン級にいいけどさぁ…顔はたいしたことないじゃん?」.


咲、言葉を選べよ。
身体はいいとか、そこだけ聞いたらヤバい想像するだろ。



「おまえ、何しに来たんだよ。ガチャガチャ言うだけなら帰れよ。」


ため息交じりに言うと、咲は「あ!忘れてた‼︎」とまた騒ぎ、何やらデカいトートバッグからカタログらしきものを取り出した。