空気が凍った。

少女が斜めに倒れ込む音だけが、した。

「キャァァァァァ!!」

通行人の1人が金切り声をあげた。

パニック。

「慌てるな!落ち着いてここから離れろ!!」

ウィリアムは、周りの人々を一喝した。

そして少女に駆け寄った。

「おい!動けるか!?」

「大丈夫、かすっただけ…。あいつら、金積んでもこの程度だなんて、笑っちゃうわよ」

右ふくらはぎを押さえながら、少女は鼻で笑った。

「減らず口叩けるんなら、心配ねぇな。とりあえず」

ガァン。

2度目の銃声。

「きゃあっ」

少女はウィリアムにしがみついた。

「その調子でしっかりつかまってろよッ」