「おい、ちょっと待て。俺はシャーロック・ホームズみたいな探偵とは違うんだ。殺人事件なんて引き受けたことないし」

「え?」

少女の動きが止まる。

「だからっ。小説と現実は違うの。俺は家出人捜索とか浮気調査とか専門なんだ。目の色変えて飛びつくなって……」

「もういい!あたし1人でなんとかするわよ!」

少女はウィリアムからパッと離れて、泣き顔でアッカンベーをした。

くるりと向きを変え、走り出した。

そのとき。

ガァァァァン。

真っ昼間のロサンゼルスに銃声がこだました。