ウィリアム&マリアシリーズ1『アーヴィング家遺産争奪戦』

「来ると思っていたよ…」

妙に間延びした、寝ぼけたような声が聞こえた。

姿は見えない。

「お見通しか。さすがだな、グリーフ」

「やあ、お嬢ちゃん」

マリアは、姿の見えない相手に呼びかけられて、戸惑っていた。



10畳ほどの四角い部屋だ。

壁には、大小さまざまの入力装置、コンピュータが、所狭しと埋め込まれている。

スピーカ、サーモグラフィ、カメラ……

照明は白く、眩しいくらいだ。



「うまく逃げおおせたようだね……」

ちょっと人を食ったような、ぼんやりしたクセのある声。

「まいったよ。ヤツら、人材がよほど豊富とみえる」

ウィリアムは肩にかけたボストンバッグを床にドサッと置いた。