ウィリアムは目を閉じて考えこんでいる。

「俺もやつらに顔、覚えられちまってるだろうからなぁ…」

マリアは息を呑んだ。

長い沈黙。

「ま、今さらお前を放って逃げ出すってのは、どうにも格好が悪い。やられたもんは倍にして返してやらないと、気も済まないしな」

そう言ってウィリアムは、椅子の背もたれに寄りかかって笑った。

マリアの顔がパッと明るくなる。

「じゃあ、助けてくれるのね……!」

マリアはデスクを回り込んでウィリアムに飛びついた。