少女は、恐る恐るウィリアムの肩に指を触れた。

剥き出しになった傷口を見て、思わず顔をそらしてしまった。

丸く開いた穴は、小さいとはいえ、血で塞がっていて、ドクドクと脈打ちながら血液を溢れさせている。

痛そう……。

あたしなんかより、ずっと。

なのにどうして、平静でいられるんだろう……。

「ボーっとしてないで、早く」

「あっ…ご、ごめん」

手が震えてやりづらかったが、なんとか巻くことができた。

「サンキュ。なかなかうまいじゃないか」

「母さんが、看護士だったから……」

ウィリアムは、まずいことを聞いたかな、という顔をしながら、新しいシャツに着替えた。

大きく1つ息を吐いて、切り出した。

「じゃ、本題に入る前に、自己紹介といこうか」