高梨さんの日常



「北条はさ、お姉さんと仲良いよね」

離れて、また正面を向いた高梨はそういった。

横顔は無表情で、何もわからない。


「うん、姉貴とはなんだかんだ言って仲良いよ。多分普通よりも」

直球勝負。

「そうだよね…」

高梨は、そのまま口をつぐんでしまいそうになるから、続けた。

「もっと、俺はもっと、高梨に頼って欲しい。」

本当は。

頼るとかじゃなくて、

依存して欲しいんだけど。


高梨が泣かないで済むように

ううん、俺の前でだけ、笑ってくれるくらい依存して欲しい。



「…十分頼りにしてるよ」

ダメだった。

直球だと思っていたものを高梨はスルリと避けた。

違うな、多分的外れのところにいったんだ。

「そっか…。…お菓子でもたべる?」

「うん」

「持ってくる」


せめて俺のお菓子を食べて、輝く顔が見たい。