手に持っている箱の中のケーキが崩れないように、振動を抑えながらも足早に駅に向かう。
アイツも、結構やるじゃん。
彼女と手をつなぐ弟の様子を思い出して笑みがこぼれた。
「ごめん、遅れた」
「大丈夫、いつものことだし」
クールにそういうユウダイの様子に不安になる。
「ごめん、寒かったよね」
うつむいて言うと、ユウダイはあたしの手を握って、
「ナツキがあっためてくれるでしょ」
といって笑った。
なんだか照れ臭くなって、
「仕方ないなあ」
なんて言いながらも力強くその手を握り返した。
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