空が好きな高梨。

料理が好きな俺。



高梨の好きな本、音楽、料理。

俺の好きなマンガ、映画、風景。


好きなものがカブるなんてそんな運命的なことはなかったけれど、それでも、もっと高梨に近づけた気がして、嬉しかった。


夕方、そろそろ暗くなるから送るよ、そう言って高梨にコートを渡す。

「あ、最後に、これ」

そう言って差し出された赤い包みに驚く。

「え、なにこれ、もらっていいの?」

「うん、気に入ってくれたらいいけど」

「開けるよ」

そう言って包み紙を開くと、中から出てきたのは紺色のマフラー。

「これ!昨日買い物行った時に欲しいと思ったやつ!」

興奮気味に、はなす。

「良かった、北条マフラーなくしたっていってたし、丁度いいかなと思って」


ああ、だから。

今日、俺の首にマフラーがあることに気づいたんだな、と勘付いた。


「ありがと」

マフラーを首に巻いてお礼を言う。