「まずね、私が一番好きなのは、空」 このうちでどこより小さい部屋の、小さいソファで手をつなぎながら話す。 「知ってるよ。毎日見てるもんね」 「そう、でも、なんで好きかわかる?」 「うーん、広いから?」 「それもあるけど、日によってコロコロ変わるからだよ」 「変わる?」 「うん、一つとして同じ空な日はないんだよ、毎日違う表情をみせる」 その一言をきいて、納得した。 高梨が何よりも空をみる理由。 憧れているからだ、そう思った。