「うん、じゃあこれ」 高梨が選んだのは有名なアニメ映画だった。 「アニメ映画だからって見下す人も多いけどわたしはとても好きな映画なの」 そういったときの高梨の表情は柔らかくて、ハッとした。 俺、彼女が自分の好きなものを語るときの表情、初めてみたんだ。 そこから、また自分が情けなく思った。 「これで、いい?」 気遣うように見てくる高梨に、あわてて、いいよ、と答え、DVDを再生した。