「ごめん、待たせた!」 バタバタと図書館のドアを開けて中に入る。 「あ、北条。ちょうどよかった。今最後の利用者帰ったから」 その声を久々に聞いた気がして、頬が緩む。 「ごめん、ローストチキン食べる時間なくなっちゃって」 「いいよ、今度で。和菓子も食べたしね。」 穏やかな声で話す高梨に、ああ、高梨だなあなんてわけのわからないことをおもったりした。