「俺は、やっぱり家のレールの上に乗ってるだけなんだよ。代々続く和菓子屋の若なんてさ。」 「でも、料理は好き、なんでしょう」 その言葉にハッとして、思わず吹き出す。 斉藤はそんな俺に不思議そうな目を向ける。 「いや、いつだったか高梨にも同じ事言われたことがあってさ」