歩き出せ私たち






「なんで俺らがアイツらなんかの為に、悩んでるんだろうな」



隣を見ると、トモヤも口を両手で覆って、私を見ていた。



「トモヤ」


「ん?」


「降りよ。電車。」



今度は私がトモヤの腕を掴んだ。
学校がある駅は、まだ二駅も先。
それなのに私は、思い立ってしまったんだ。

こうすることでしか、おさまらない。

この、行き場のない苛立ちや、もどかしさから抜け出すには、これしかないんだ。

いつもは素通りしてきた駅のホームに、トモヤと一緒に飛び出す。

その瞬間、背後で閉まるドア。

次に電車が来るのは20分後。
そうなるともう、学校には間に合わない。

後戻りできない状況になった。
もう、すべてが面倒なんだ。

今の私は、どうかしてる。

今なら、トモヤと二人なら、どこにでも行けるかもしれないなんて、夢みたいなことを、結構本気で思っちゃってる。