歩き出せ私たち





なんだそれ。
私の泣き顔でも見たいのか、こいつ。

それとも、安心、したいのか・・・?



「小学校の頃、ジャングルジムから落ちたときも、飼ってた犬が死んだときも、」


「・・・・・・・・」


「中学の頃、部活の大会に行けなかったときも、母親が事故で入院したときも、」


「・・・・・・・・」


「・・・こないだ、失恋したときも、絶対、俺の前じゃ泣かないんだよな、お前は。」


「うん。」


「なぁ、なんで?」



なんでだろう。

それは、今、涙声のこいつが、泣いてるってばれてるのに、絶対こっちを向かない理由と、同じ気がする。


少しだって弱さを見せたくないんだ。
真面目な話をするより、ふざけ合ってるほうが気が楽だし、何より私達らしいから。
今まで一緒にいて心地よかった空気が崩れるのが、怖いんだ。