歩き出せ私たち






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電気がついて、再び辺りがパッと明るくなる。
膝の上の容器を覗くと、ポップコーンは底が見えるほどの量まで、減っていた。

映画は、なんと言えばいいのだろう。
途中、少しだけ、泣きそうになった。
から、途中から目を閉じて、観ないようにしていた。

やっぱり、私にはこういうの、似合わない。

やっぱりあんま良くなかったね、と言おうとして隣を見たら、トモヤは、そっぽを向いていた。
映画の途中で寝たのか。
仕方ない、起こしてやるとしよう。



「トモヤ、終わったよ」


「知ってるよ・・・ズズッ」



鼻を、啜るような音。
肩が、微かに震えてる。
起きてたのか、じゃあ、もしかして・・・



「トモヤ、泣いてんの?」


「ああ、そうだよ・・・」


「そっか。」


「馬鹿にしねーのかよ、」


「しないよ。私だって、感動したもん。」



トモヤは、決してこっちを見ようとしない。
変なの。
私に泣き顔を見せたくないのか?
今まで、もっと恥ずかしい姿、いっぱい見てきたのに。

ブレザーのポケットから、ハンカチを出して、トモヤの前に翳す。



「これ、貸すから、洗濯して返して。」


「お前は?」


「え?」


「お前は、泣かねーの?」