まさか、私が「あるよ。」なんて答えるとは思ってもみなかったって顔。
そんな話も、素振りも、なかったんだから無理ない。
「あ、相手は・・・?」
「・・・・・・・・・」
「まさかと思うけど、アイツじゃねーよな?」
「その、まさかだよ。」
ついにトモヤは硬直した。
こうも面白いリアクションをされてしまうと、私が今から話そうとしてるエピソードのパンチが弱くなるからやめてほしい。
それは、去年のクリスマス。
またいつものように、アキナの家でクリスマスパーティーが開かれた。
プレゼントを交換して、ケーキや料理を食べて。
私達は、いつもと何ら変わらない、クリスマスを過ごしていた。
その頃からトモヤの気持ちに気付いていた私は、アキナとトモヤを部屋に二人きりにして、ノボルと二人で先に帰ることにした。
私も、ノボルとは二人きりになりたかったから。
そして、家までの帰り道。
アレが起きてしまった。
「ミオ、目、閉じて。」
唐突に、ノボルが口にした。
何か渡しそびれたプレゼントでもあるのだろうかとドキドキしながら、目を閉じると・・・・
チュッ
唇に、感じたことのない衝撃が走った。
すぐ目を開ける。
初めてだったけど、今の一瞬で何が起こったのかは、大体把握できた。
「今の、二人だけの秘密ね。」
そう、ノボルは言った。
そして、何事もないように、また歩き出した。
それってつまり、そういうことでしょ。
私達、もう、友達じゃないって。
そう思ってたのは、どうやら私だけだったみたいだ。

