「ねぇ、クリスマスなんか予定ある?」
「ないけど、どうせお前もねーんだろ?」
毎年、クリスマスには四人で集まって、お祝いをしてた。
いっつもアキナのお母さんが焼いてくれるケーキを、アキナの家でみんなで食べるんだ。
あの生クリームたっぷりのケーキ、美味しいんだよな。
アレがもう食べれないのは、ちょっと残念だ。
当然今年からは、そんな恒例行事も廃止になるだろう。
誘われても断るつもりだ、私は。
「そうですよ。ないですよ。どうせどうせ未だに空白のクリスマスですよ。」
「やっぱりな。」
「でも、そろそろ潮時だと思ってたし。ちょうどよかったんじゃない?」
「その刺々しい言い方なんとかなんねーのかよ。」
「なりません。なに?トモヤは落ち込んでたりすんの?」
「まぁな・・・」
「ふっくくっ・・・」
「何だよ、わりぃかよ・・・アキナのおばさんのケーキ、うまかったじゃん」
「やっぱケーキ目当てか薄情者め。」
「もう俺、お前と話すのめんどくさい。」
トモヤは、天性のいじめられっ子気質だと思う。
こんなに他人の困った顔を見て、面白いと思うことってない。

