彼は本気だ。答えなければ解放してくれないだろう。
仕方なく、ちえは口を割った。その間彼女はルイスの瞳を見れなかった。
「…へぇ、なるほどね」
ルイスは聞き終わると笑みをこぼし、納得したように頷く。
「だからか。僕が笑いかけても怖がってたのは」
何が面白いのか、クスクスと声に出す彼を怪訝そうにちえは見上げる。
「普通はさ、僕が微笑めば皆嬉しそうな顔をするはずなんだ」
確かにクラスメートたちはルイスが笑う度に顔を綻ばせていた。ナルシスト発言だが事実だから仕方ない。
「でも蓬田さんは違った。僕を見て怯えてた」
さらりとまた彼女の頬に手を滑らせるルイスは何故か嬉しそうな顔をする。
「本当、初めてだよ。僕を見て怯えてたのも、見破るのも、ね」
(見破る…って)
「じゃあ…」
「そう。あれは作り物だよ」
いきなり告げられたことにちえはどうしていいか分からず混乱した。


