「相変わらず、すげぇな」

「…そうだね」


ルイスはいつも笑顔でいるせいか直ぐにクラスに馴染み、一瞬でクラスの人気者に成り上がった。

だが、ちえは彼に苦手意識がある。


(何か…、完璧すぎて怖い)


笑顔も仕草もルイスの全てがまるで作り物のように思えて恐怖だった。

怯えた瞳で控えめに彼を見つめていると、バチリとルイスの蒼い瞳とかち合う。

ハッとしてちえは慌てたように思いっきり視線を反らした。その様子に浩は苦笑しながら前の自分の席につく。


「…今のは流石にあからさまだったと思うぞ」


(宮内くんは人をよく見てる)


彼はちえがルイスのことを苦手なのを知っていた。


「…やっぱりそうかな」

「あぁ」


(……でも、怖いの)


ぎゅっと掌を机の下で固く握り締めているとちょうどいいタイミングでチャイムが鳴り、担任が入室したことで会話は終わった。

ちえも意識を担任に向けていた為、気付かなかった。


ルイスが目を細めてちえの小さな背中を眺めていたことに。