翌日。

朝からクラス中が騒いでいた。


「え、ルイスくんと蓬田さんが!?」

「嘘、信じられない…」


ひそひそと口々に言われ、心が痛む。

登校してきたルイスはなんとこの場でちえの許可なしに交際宣言をしたのだ。


(う…周りの目が痛い)


涙目になりながらちらりと彼に目を向けると、ちょうど遠慮がちにクラスの女子が話しかけているところだった。


「ねぇ、ルイスくん。何で蓬田さんなの?ルイスくんならその、もっと可愛い女の子がいたんじゃ…」

「そうだよな。はっきり言って地味だし」


聞こえないとでも思っているのだろうか。聞いた女子に賛同した男子の言葉は自覚しているとはいえぐさりとちえに突き刺さる。

しかしルイスは怒るわけでもなく、フッと笑みをこぼして傷ついている彼女に歩み寄った。


「いいんだ、ちえはそれで」


彼らに言いながらも視線はちえに移っており、優しくその頭を撫でる。


「え?どういうこと?」


クラスメートたちが顔を見合わせて首を傾げた。それにルイスは笑顔で言い切る。


「だって、皆にちえの可愛いところ見せたくないから」

「…っ」


ポンッと真っ赤になるのが自分でもわかった彼女は必死に俯いて冷静さを保とうとした。


「あー…、蓬田。お前、面倒なのに捕まったな」


騒ぎになった時に簡単にちえから説明を受けていた浩は、短い髪の毛をがしがしと掻き横目でルイスを見ながら彼女を哀れむ。


「あ、の…面倒、って?」

「いや、だってさ、アイツ絶対…」


「ちえの可愛いところは僕だけが知ってたいんだ」


「相当嫉妬深いだろ」


【END】