「鈴木、柄にもなく泣いてんの?」
「なっ、柄にもなくってなにさ!!」
「いや、柄にもなくだろっ」
「……バスケ部集まってるよ、行かなくていいの」
「いーんだよ。どーせ夕方誰かん家でオールすんだから。そーいうお前も、女子写真撮ってるけど?」
「……この後パーティー行くもん」
本当は、遊佐と話していたいから、なんて言えなかった。
高3で同じクラスになって、高校に入って初めて好きになった人が遊佐竜二。
バスケ部の部長をやっていて、クラスの学級委員長という、いわゆるまとめ役。
「……ふーん、じゃあ、少女マンガみたいに告白でもすれば?」
「しないよ、バカじゃないの」
「どうせもう会わないんだし、フラれてもいいだろ?」
「……しない。好きな人、いるもんその人」
いる、なんて聞いたことないけどね。
とっさにでっちあげた嘘を言った。
「ふーん、てか、鈴木に好きな人いるとか初耳」
「そーいう、遊佐はいないの?」
「俺? いるよ」
「え?!?!」
そ、それこそ初耳なんですけど。
あたしは、驚きを隠せず、目をまん丸にした。