「はい、今の97本目ー」
「うぐ……っ」
「まだ続けんの?」
「もちろん!!」
「……はあ」
今日、4月10日、高校最後の登校日。
三年間通った高校から、離れる卒業式。
その卒業式が終わった今、あたし、鈴木真央は、クラスメイトの男子の一人、遊佐竜二と第二体育館にいる。
リングの正面、スリーポイントラインに立っているあたしと、ステージの下に座っていて、ステージに寄りかかっている遊佐。
「なあ、第一体育館に戻ろうぜ。卒業式終わって、みんな写真撮ったりしてるだろ」
「嫌だ!! 絶対かけに勝ってやるんだから!!」
賭け。
そんな事が始まったのは、卒業式が終わったとき、たまたま遊佐と話したことから。