「んー…それは……」
浅倉はチラリとわたしを見てきた。
不覚にも、ドキッとしてしまう。
あの日のことを、なんて言うのかな、なんて。
すると浅倉は、口角をスッと持ち上げた。
優雅に、その口許に、人差し指が運ばれていく。
そして、笑いながら、肩をすくめた。
「──秘密、かな。」
その姿は、とても艶姿で、つい、見とれていた。
「えーっ、なにそれー!」
でもどうやら、かなちゃんは不服らしい。
「えー、まぁ…俺が呼びたかったから呼んでるだけだよ?ほら、王子も了承してくれてるし。」
浅倉はいつもの笑顔を向けてきた。
「了承してないし!1mmも!」
浅倉はクスクスと笑っている。
「えー、……まぁ、いっかぁ…」
かなちゃんは少しうつむき気味で、頬をふくらました。
だからそれ、可愛いだけだから。


