またさっきいたところに戻ると、チームが交代したのか、ちらほらと男子がたまっていた。
「あ、王子!」
…この名前を平時で呼んでくるのは、あいつだけである。
浅倉はコンクリートに寝そべっていた。
腰にはジャージが巻いてある。
「何メートル跳んだ?陸上部。」
浅倉は体を起こす気はないらしい。
「3m62。」
わたしが数字だけ呟くと、後ろからかなちゃんに体当たりされた。
「ちなみにあたしは3m87だよ、浅倉くん!」
「うわすげぇ。王子に勝ったんだ?」
浅倉は目を見開いていた。
……そんなに驚く?
「そうそう、すごいでしょ?浅倉くんはゴール決めてたね。」
かなちゃんは会話作りがうまい。
よく思うけど。


