「そういえばさ、結架ちゃん。」
今日の体育は走り幅跳びだった。
砂場を使うから、校庭では男子がサッカーをやっている。
隣のクラスとの合同だから、女子も1クラス分いる。
「ん、なぁに?」
今は測定の待ち時間だった。
「結架ちゃんって、なんで『王子』って呼ばれてんの?」
あぁくっそ、痛いとこ突いてくんな。
顔は可愛いくせして。(※中身も可愛いです)
「えー…ちょっと、ねぇ…」
わたし的には理由が不憫な思い出だ。
校庭の隅のコンクリートに座りながら思い出す。
風が吹き抜けた。
「わー、やっぱジャージ着てくるべきだったかなぁ…」
もう6月も半ばだから、大丈夫だと思ったのに。
わたしは腕をさする。
「あ、話し逸らさないでよぉ!」
かなちゃんが隣から肩をゆさぶってきた。
可愛いやつめ。


