「っ…~──えっと、赤城さんもこれだよね?」
電車のドアが開く。
「あ、うん…そう。」
人がちらほらと降りていく。
「……………。」
まだお互い顔が赤くて、無言で電車に乗り込んだ。
ここからわたしの家までは9駅分。
浅倉くんはどこで降りるんだろう?
2人して無言で、隣同士で座った。
「えっと…浅倉くんって、何駅乗ってる、の?」
わたしは変に意識してしまって、あまり目を合わせられずに訊ねる。
「えーっと……12駅。」
「…終点?」
「そう、終点。」
浅倉くんと、意外と家が近かったことが、なぜか嬉しかった。
次の日、昼休みのミーティングから帰ってきた浅倉くんに笑顔で『王子』と呼ばれたときは、全く嬉しくなかったけど。