「俺が生徒会長か…。決まっちゃったんだな…」


「…もしかして会長になったこと、後悔してる…?」


遠くを見るように言った神林くんに恐る恐るそう聞いてみる。


「まさか。やりたいと思ったから立候補したんだ。全力でやるよ。

俺が嘆いたのはそのことじゃなくて…」


「…?」


「選挙活動が終わっちゃったかって方の嘆き。なんていうか、俺にとって…、大切な時間だったから」


――ドクンっ

心臓が音を立てた。


選挙活動はわたしとばかりしていた訳じゃない。

むしろわたしと過ごした時間なんてほんの一部にすぎない。


それなのに音を立ててしまったのは、


『大切な時間だったから』


神林くんが…、まっすぐにわたしを見て言ったから。

その瞳にあまりにも優しいものを感じてしまったから。


神林くんも少しでもわたしとの時間を特別な時間だと思っててくれたの…?