「郁、電子辞書持ってるんでしょ⁇」




呆然としてる奈々達外野は置いといて。





「持ってるけど貸してるからないんだよ」




「だから、私に貸して欲しいと⁇」




「そ。花鈴のクラスは次の時間使わねえだろ⁇」




「……しょうがない。貸してあげますよ」




スクバから電子辞書を出して郁斗に渡す。





「はい、この時間終わったら返してね。お兄ちゃん⁇」




「さんきゅ、花鈴。お昼には返しにくるから」




「なら、教室に居るから。絶対に返してよ郁」




念を押して電子辞書を貸すと。





「あ、そうだ。一つ言っとくけど、花鈴にちょっとでも変な事してみろ⁇女でも男でも俺、何するか分かんねえよ⁇」




郁斗は不敵に笑ってそれだけ言うと、涼哉を連れて帰って行った。





「……なに、最後のアレ」




「んー、牽制なんじゃない⁇てか、五十嵐のやつ、郁斗に完全に振り回されてるわね」




苦笑いで涼哉の事を見送る茉莉花。





確かに可哀想なくらい今日は郁斗に振り回されてるよね涼哉。