吾妻さんに着席を促した後、キッチンまで歩を進め、やかんを火にかけながら声を張り上げる。
「ああ、大丈夫ですよ。俺、コーヒー大好きなんで」
その返答に安堵しつつ食器棚から来客用のコーヒーカップを取り出し、自分が普段使っているマグカップと共に流し台に並べて置いた。
コーヒーの粉を投入し、冷蔵庫からミルクを取り出そうとした所で、ふと気付く。
「あ。吾妻さんは、ブラック派だよね?」
「ええ」
「じゃ、オレも今度はそうしとこっと…」
呟きながら、冷蔵庫のドアを静かに閉めた。
吾妻さん宅で頂いたコーヒーには、2杯とも砂糖とミルクを入れてしまったんだよね。
甘い物が好きでついつい摂りすぎてしまうんだけど、オレももうアラサーだし、気が付いた時にきちんとセーブするようにしなければ。
そんな訳でウチにもチョコレートの買い置きがあったんだけど、今度のお茶うけはしょっぱい物の方が良いだろうと思い、色んな味が楽しめる、個包装のおかきをチョイスした。
それをお皿に盛り付け終わった所で、タイミング良くやかんが鳴る。
カップにお湯を注ぎ入れ、皿と一緒にトレイに乗せたあと、ダイニングテーブルへと運んだ。
「だけど、仲良くするなんて言っちゃって良かったのかな……」
「いただきます」「どうぞ召し上がれ」のやり取りを経て、お互いがコーヒーを一口飲み終えた所で、オレは先ほどから引っ掛かりまくっていた事を尋ねてみる。
「こうき君、ますますこの世に留まる事になっちゃうんじゃないだろうか…」
「いや、でも、聖くんの葬儀はきちんと執り行われているし、この部屋も事故後にお祓いをしているハズなんですよ」
吾妻さんは神妙な顔付き、声音で言葉を返した。
「それでも成仏できなかったんだから、俺達が聖くんと仲良くなる事を承諾しようが拒絶しようが、どっちみち状況は変わらないと思うんですが」
「あ、そっか、当然そういう儀式はしてるよね。う~ん…」
「だったらとことん深く関わってみようかなと。聖くんには、何かこの世に、とてつもなく強い心残りがあるんだと思います。それが分かればきっと……」
「え?て事は、その原因を探って、こうき君を天に還してあげるつもりとか?」
「ええ」
「ああ、大丈夫ですよ。俺、コーヒー大好きなんで」
その返答に安堵しつつ食器棚から来客用のコーヒーカップを取り出し、自分が普段使っているマグカップと共に流し台に並べて置いた。
コーヒーの粉を投入し、冷蔵庫からミルクを取り出そうとした所で、ふと気付く。
「あ。吾妻さんは、ブラック派だよね?」
「ええ」
「じゃ、オレも今度はそうしとこっと…」
呟きながら、冷蔵庫のドアを静かに閉めた。
吾妻さん宅で頂いたコーヒーには、2杯とも砂糖とミルクを入れてしまったんだよね。
甘い物が好きでついつい摂りすぎてしまうんだけど、オレももうアラサーだし、気が付いた時にきちんとセーブするようにしなければ。
そんな訳でウチにもチョコレートの買い置きがあったんだけど、今度のお茶うけはしょっぱい物の方が良いだろうと思い、色んな味が楽しめる、個包装のおかきをチョイスした。
それをお皿に盛り付け終わった所で、タイミング良くやかんが鳴る。
カップにお湯を注ぎ入れ、皿と一緒にトレイに乗せたあと、ダイニングテーブルへと運んだ。
「だけど、仲良くするなんて言っちゃって良かったのかな……」
「いただきます」「どうぞ召し上がれ」のやり取りを経て、お互いがコーヒーを一口飲み終えた所で、オレは先ほどから引っ掛かりまくっていた事を尋ねてみる。
「こうき君、ますますこの世に留まる事になっちゃうんじゃないだろうか…」
「いや、でも、聖くんの葬儀はきちんと執り行われているし、この部屋も事故後にお祓いをしているハズなんですよ」
吾妻さんは神妙な顔付き、声音で言葉を返した。
「それでも成仏できなかったんだから、俺達が聖くんと仲良くなる事を承諾しようが拒絶しようが、どっちみち状況は変わらないと思うんですが」
「あ、そっか、当然そういう儀式はしてるよね。う~ん…」
「だったらとことん深く関わってみようかなと。聖くんには、何かこの世に、とてつもなく強い心残りがあるんだと思います。それが分かればきっと……」
「え?て事は、その原因を探って、こうき君を天に還してあげるつもりとか?」
「ええ」

