物の形の捉え方というかデッサン力というか、そういう能力がやっぱオレら素人とは桁違いだもん。
そもそもこういった基礎がきちんと身に付いてなくちゃ、イラストのようなデフォルメした絵も描けるハズがないもんね。
周りの同級生ならまだしも、絵を教える事を生業にしている教師が、その才能に全く気付かないなんてちょっと考えられないんだけどなぁ…。
という事は、あずまさんはただ授業中手抜きしていたというよりも、「細心の注意を払ってあえて下手に」絵を描いて、それを提出していた、という事にはならないだろうか?
何故そこまでして自分の才能をひた隠しにする必要があるのかは分からないけれど。
「で、こっちがきちんと色付けまでしてあるやつです。素人投稿時代の作品が中心なんですが…」
何て事を考えている間に、スケッチブックの方がすべて捲り終わり、あずまさんは巨大アルバムをその上に置き直していた。
一応視線は向けていたんだけど、心ここにあらずだったオレはハッと我に返る。
せっかくあずまさんが好意で見せて下さっているのに、考え事をしてるなんて失礼にも程があるよな。
浮かび上がった疑問はひとまず置いといて、オレは改めて目の前の作品集に意識を集中する事にした。
アルバムを間近で見てみると、中に透明のポケットが何枚も綴られているのが確認できる。
その一つ一つに作品が納められているのだろう。
「おおー!」
あずまさんが表紙を捲り、一番上にあった絵が目に飛び込んで来た瞬間、思わず感嘆の声を上げてしまった。
「鉛筆画も素晴らしいけど、色が付くとやっぱり華やかな印象になりますよねー」
「そうですか?」
「ええ。しかもこの色彩の組み合わせの見事なこと。まさに『安曇ワールド』って感じ」
興奮しながら、ポケットの端に右手を伸ばした所で、あずまさんがさりげなくアルバムの角度をずらしてくれた。
今度は自分で捲らせてもらいたくなって、確認を取る前に思わず体が動いてしまったのだけど、あずまさんは快く許可してくれたようだ。
その事に感謝の意を表すべく、軽く頭を下げながらさっそくポケットを捲った。
「あ。この作品は一つ前のとはまた雰囲気が違いますね」
そもそもこういった基礎がきちんと身に付いてなくちゃ、イラストのようなデフォルメした絵も描けるハズがないもんね。
周りの同級生ならまだしも、絵を教える事を生業にしている教師が、その才能に全く気付かないなんてちょっと考えられないんだけどなぁ…。
という事は、あずまさんはただ授業中手抜きしていたというよりも、「細心の注意を払ってあえて下手に」絵を描いて、それを提出していた、という事にはならないだろうか?
何故そこまでして自分の才能をひた隠しにする必要があるのかは分からないけれど。
「で、こっちがきちんと色付けまでしてあるやつです。素人投稿時代の作品が中心なんですが…」
何て事を考えている間に、スケッチブックの方がすべて捲り終わり、あずまさんは巨大アルバムをその上に置き直していた。
一応視線は向けていたんだけど、心ここにあらずだったオレはハッと我に返る。
せっかくあずまさんが好意で見せて下さっているのに、考え事をしてるなんて失礼にも程があるよな。
浮かび上がった疑問はひとまず置いといて、オレは改めて目の前の作品集に意識を集中する事にした。
アルバムを間近で見てみると、中に透明のポケットが何枚も綴られているのが確認できる。
その一つ一つに作品が納められているのだろう。
「おおー!」
あずまさんが表紙を捲り、一番上にあった絵が目に飛び込んで来た瞬間、思わず感嘆の声を上げてしまった。
「鉛筆画も素晴らしいけど、色が付くとやっぱり華やかな印象になりますよねー」
「そうですか?」
「ええ。しかもこの色彩の組み合わせの見事なこと。まさに『安曇ワールド』って感じ」
興奮しながら、ポケットの端に右手を伸ばした所で、あずまさんがさりげなくアルバムの角度をずらしてくれた。
今度は自分で捲らせてもらいたくなって、確認を取る前に思わず体が動いてしまったのだけど、あずまさんは快く許可してくれたようだ。
その事に感謝の意を表すべく、軽く頭を下げながらさっそくポケットを捲った。
「あ。この作品は一つ前のとはまた雰囲気が違いますね」

