「えっと、プロって事は、公に作品を発表してるって事ですよね?」
「ええ、まぁ」
「差し支えなければ今までどういったお仕事をされたのか、教えていただいても良いですか?」
「ん~…。あちらこちらで、チョコチョコとやらせてもらってるからなぁ…」
あずまさんはポリポリと頭をかきながら、オレの対面の席に置いてあったもう一個の椅子を引き寄せ、着席した。
話がまだ続きそうなので、とりあえず腰を落ち着けようと思ったのだろう。
「比企さんがご存知かどうかは分かりませんが、自分にとってはターニングポイントとなった、代表的な仕事と言ったらやっぱアレかな」
「何ですか?」
「『愛のカナタ』っていう小説の、カバーイラストと挿し絵を担当したんですけど……」
「え!?」
ワクワクしながらあずまさんの話の続きを待っていたオレは、さらにテンションが上がった。
「あ、あの、一世を風靡した恋愛小説、『愛のカナタ』ですか!?」
「え?ええ」
「じゃあ、ズバリ、あなたは安曇綺羅さんっ??」
「えっ」
今度はあずまさんが驚く番だった。
「よ、良くご存知ですね?あれってバリバリ女子中高生向けの小説なのに。しかも作者ではない、イラスト担当の俺のペンネームなんかを」
「いやいや、だって社会現象にまでなりましたし。元々はケータイサイトで素人さんが発表してた小説で、そこから人気に火が着いて、書籍化、映画化、ドラマ化っていう風に展開して行ったんですよね」
「ええ。なので、題名だけ知ってるって人は老若男女問わず結構いますけど、挿し絵担当の名前まで把握している成人男性ってのはなかなか…」
「そうですか?」
「だって、手に取ってじっくり観察しないと分からないでしょう?でも、人目が気になってそれはなかなか難しいだろうし」
「それが仕事柄、人前で堂々と手にできちゃうんですよねー。購入前に中身にざっと目を通しますし、その後も繰り返し手に取る機会がありましたから。もー、ピーク時には予約が100人待ちとかになっちゃってて何回貸出・返却を繰り返したことか」
「え?」
「それにオレ、基本は文章を読むのが好きなんですけど、本の装丁とかイラストとか、どういう人が担当してるのかってのをチェックするのも大好きなんですよ~」
「えっと…。比企さんは、一体何のお仕事をされてるんですか?」
「ええ、まぁ」
「差し支えなければ今までどういったお仕事をされたのか、教えていただいても良いですか?」
「ん~…。あちらこちらで、チョコチョコとやらせてもらってるからなぁ…」
あずまさんはポリポリと頭をかきながら、オレの対面の席に置いてあったもう一個の椅子を引き寄せ、着席した。
話がまだ続きそうなので、とりあえず腰を落ち着けようと思ったのだろう。
「比企さんがご存知かどうかは分かりませんが、自分にとってはターニングポイントとなった、代表的な仕事と言ったらやっぱアレかな」
「何ですか?」
「『愛のカナタ』っていう小説の、カバーイラストと挿し絵を担当したんですけど……」
「え!?」
ワクワクしながらあずまさんの話の続きを待っていたオレは、さらにテンションが上がった。
「あ、あの、一世を風靡した恋愛小説、『愛のカナタ』ですか!?」
「え?ええ」
「じゃあ、ズバリ、あなたは安曇綺羅さんっ??」
「えっ」
今度はあずまさんが驚く番だった。
「よ、良くご存知ですね?あれってバリバリ女子中高生向けの小説なのに。しかも作者ではない、イラスト担当の俺のペンネームなんかを」
「いやいや、だって社会現象にまでなりましたし。元々はケータイサイトで素人さんが発表してた小説で、そこから人気に火が着いて、書籍化、映画化、ドラマ化っていう風に展開して行ったんですよね」
「ええ。なので、題名だけ知ってるって人は老若男女問わず結構いますけど、挿し絵担当の名前まで把握している成人男性ってのはなかなか…」
「そうですか?」
「だって、手に取ってじっくり観察しないと分からないでしょう?でも、人目が気になってそれはなかなか難しいだろうし」
「それが仕事柄、人前で堂々と手にできちゃうんですよねー。購入前に中身にざっと目を通しますし、その後も繰り返し手に取る機会がありましたから。もー、ピーク時には予約が100人待ちとかになっちゃってて何回貸出・返却を繰り返したことか」
「え?」
「それにオレ、基本は文章を読むのが好きなんですけど、本の装丁とかイラストとか、どういう人が担当してるのかってのをチェックするのも大好きなんですよ~」
「えっと…。比企さんは、一体何のお仕事をされてるんですか?」

