「はい」
「お代は先にいただく事になりますがよろしいですか?」
「大丈夫ですよ」
会計後、レシートとおつり、そして申し込み用紙から切り取った『引換券』を差し出しながら店員さんは笑顔で言葉を発する。
「それでは当日お待ちしております」
「よろしくお願いしますね」
彼女の満面の笑みについつい釣られてオレも顔を綻ばせつつ、それらを受け取り、財布に仕舞いながら出入口へと向かった。
とりあえず、これで事前準備は整ったな。
あとは当日のシチュー作りを残すのみ。
聖くんは現時点では食欲が湧かないみたいだけど、ケーキは食べられるようだし、それと一緒に出された料理なら口にするかもしれない。
もし食べられなくても、お誕生日パーティーなんだから、これでもかとばかりに華やかな雰囲気にしてあげたいもんね。
テーブルの上に乗ってるのがケーキだけ、ってのはちょっと寂しい。
だからやっぱり演出上、オードブルは必要だと考えた。
もちろん、ただの飾りで終わらせるつもりはない。
吾妻さんとオレ、20代男性が二人もいるんだから、食べきれずに捨てるなんて事態にはならないだろう。
気がかりだった事を無事に済ませ、心底安堵しながら、オレは職場へと向かったのだった。
「あれ?」
一日の業務を終え、着替えをしてロッカーから荷物を取り出し、何の気なしにケータイをチェックした所でその事実に気が付く。
どこでもそうだと思うけど、ウチの職場では勤務中、ケータイを閲覧する行為は禁止されている。
例えばカウンターを担当していて、これから休憩に入る、という時であったとしても、利用者の目の届く範囲内で弄ったりしないようにと念を押されていた。
そんな事情は部外者には分からないし、誤解を与えるような行動は慎むべきであるから。
なので、ケータイを使用できるのは必然的に休憩室内だけという事になり、エプロンのポケットに入れておいても邪魔なだけだし意味がないので、皆ロッカーの中に仕舞いっぱなしにしていた。
そして休憩時間、昼休み、仕事終わりのタイミングで、何か連絡は入っていないかどうかチェックしているのだ。
よっぽど緊急の用事ならば事務室の方に電話が入るハズなので、常にケータイを携帯していなくても別に不都合な事はない。
「15分になりましたよー。皆さん帰りましょうー」
「お代は先にいただく事になりますがよろしいですか?」
「大丈夫ですよ」
会計後、レシートとおつり、そして申し込み用紙から切り取った『引換券』を差し出しながら店員さんは笑顔で言葉を発する。
「それでは当日お待ちしております」
「よろしくお願いしますね」
彼女の満面の笑みについつい釣られてオレも顔を綻ばせつつ、それらを受け取り、財布に仕舞いながら出入口へと向かった。
とりあえず、これで事前準備は整ったな。
あとは当日のシチュー作りを残すのみ。
聖くんは現時点では食欲が湧かないみたいだけど、ケーキは食べられるようだし、それと一緒に出された料理なら口にするかもしれない。
もし食べられなくても、お誕生日パーティーなんだから、これでもかとばかりに華やかな雰囲気にしてあげたいもんね。
テーブルの上に乗ってるのがケーキだけ、ってのはちょっと寂しい。
だからやっぱり演出上、オードブルは必要だと考えた。
もちろん、ただの飾りで終わらせるつもりはない。
吾妻さんとオレ、20代男性が二人もいるんだから、食べきれずに捨てるなんて事態にはならないだろう。
気がかりだった事を無事に済ませ、心底安堵しながら、オレは職場へと向かったのだった。
「あれ?」
一日の業務を終え、着替えをしてロッカーから荷物を取り出し、何の気なしにケータイをチェックした所でその事実に気が付く。
どこでもそうだと思うけど、ウチの職場では勤務中、ケータイを閲覧する行為は禁止されている。
例えばカウンターを担当していて、これから休憩に入る、という時であったとしても、利用者の目の届く範囲内で弄ったりしないようにと念を押されていた。
そんな事情は部外者には分からないし、誤解を与えるような行動は慎むべきであるから。
なので、ケータイを使用できるのは必然的に休憩室内だけという事になり、エプロンのポケットに入れておいても邪魔なだけだし意味がないので、皆ロッカーの中に仕舞いっぱなしにしていた。
そして休憩時間、昼休み、仕事終わりのタイミングで、何か連絡は入っていないかどうかチェックしているのだ。
よっぽど緊急の用事ならば事務室の方に電話が入るハズなので、常にケータイを携帯していなくても別に不都合な事はない。
「15分になりましたよー。皆さん帰りましょうー」

