旦那様は冷徹社長!?~政略結婚は恋の始まり~

 私がポツリと呟く様に言った言葉に返事はなく、ただ黙って彼は夕陽を眺めていた。

 暫く沈黙が続いた時――。

「あの日見た夕陽と同じ位綺麗で、なんだか懐かしくなります」

 彼が夕陽を見たまま口を開いた。

「あの日、俺はここでお祖父さんの膝に座り夕陽を見ました。俺の人生のスタートはここからだったのかも知れませんね……」

 オレンジに染められた彼の綺麗な横顔に目を向けると、その瞳は切なげに見える。

 彼の初めてみる顔に私の中にある感情が沸き上がってきた。

 彼を守りたい――。

 そう思わせる彼の表情をただジッと見つめた。