旦那様は冷徹社長!?~政略結婚は恋の始まり~

「迎えを寄越しますのでそれまでゆっくりしててください。会計は済ませておきますので。ではまた」

 言いたい事を言うと彼は店を出ていった。

 ……迎えって……誰がくるの?

 スパゲティをフォークで巻いたまま彼が出ていった店の入り口をぽかーんと眺めた。

 残りのナポリタンも食べ終わりゆっくりしていると、スーツを着た一人の女性が入ってきた。

 妖艶なその女性は私に気づくと、弾力がありそうな唇を上げ妖しく微笑み、こっちへ歩いてきた。

「お待たせしました奥さま。社長の秘書の花崎(はなざき)です。社長に頼まれお迎えにあがりました」

 綺麗に巻かれた髪を耳に掛けながら、艶かしい瞳で私を見る。

「わざわざすみません」

 彼女に軽く頭を下げると立ち上がり店を出た。