旦那様は冷徹社長!?~政略結婚は恋の始まり~

「瑞希さん」

 低く柔らかな声で名前を呼ばれ彼を見ると、優しい顔をした彼と目が合う。

「手を繋いで歩きませんか?」

「え?」

 早く打っていた鼓動がドキンドキンと胸を強く打ち出す。

 その音が彼に聞こえてしまっているのではないかと思うほど強く、激しく打つ鼓動に胸が痛い。

 きっと私は今、顔が赤い。

 恥ずかしくて彼を見る事が出来なくて俯きながら「はい」と答えた。

 足元を見ていると彼のあの長くて綺麗な手が視界に入る。

 顔をあげると優しく微笑んだ彼が手を差しのべている。

 頬を染める、なんて可愛い表現では収まらないほど私の顔は今、きっと茹でタコのように赤い事だろう。