そう言って、得意気に笑うこの男。 相変わらず、生意気。 「…忠犬のくせに」 「わんっ」 「うっさい」 ほんと、バカみたい。 「今日は、あたしが待ってるから」 「え、いいんすか?」 「しょうがないから、たまにはあたしが忠犬になってあげる」 そう言うと、池田があたしの頭を優しく撫でて、顔を近づけるから。 目を閉じると、耳元で囁いた。 「…おすわり」 「ふざけんな!」 【完】