【短編】そんな、ある冬の帰り道。






「関係なくないっすよ。グラウンドでサッカーしてたら、先輩が泣いてるのが見えて、心配になって…」




お願いだから、これ以上優しくしないで。



その優しさが、つらいの。




「余計なお世話かもしれないけど、先輩の悲しんでる姿を見るのは、俺もつらいっす」



「ありがとう、でも…」



「こっち向いてください」



「え…」




反射的に池田を見ると、そこにはあたしを真っ直ぐに見つめる、あの頃と同じ忠犬池田がいて。