ぼっちな彼女に溺愛中


「そうなの?なら、よかったじゃん。

なんでそんな落ちてんの?」

玲二は拍子抜けしたように笑うと、買っていたメロンパンをようやくあけた。

「つか、メロンパン臭いんだよ。」

「は?なに言ってんの?」

ほんと、なに言ってんだ俺。

特に謝ることもせず玲二から視線を逸らす。

なんか、なんでもいいから話題をそらしたかった。

今俺に起こっている現実を受け止めるのが心底嫌だ。

昨日の今日に戻らないかな。まだ何も知らず、市谷と話したいとただ思っていただけの平和な悩みを持つ俺に。

いや、そうするとあの電車の中の実に気分の悪い場面にまた遭遇することになるのか。

今思い出しても、いやマジで腹が立つ。

俺以外の男が、市谷に抱き着くあの場面。

もう二度と見たくない。

でも・・・きっと俺が知らないところであんな場面を、あの二人は何度も繰り広げているんだろう。

きっと、もっと濃厚なシーンも・・・

あー嫌だ。想像したくない。嫌だ。やっぱり嫌だ。

市谷が、誰かのものだなんて。認めたくない。認めるものか。

しかもあんな、他の女に笑顔振りまくような仕事してる奴なんか。

なんであいつなんだよ。あんなのでいいのかよ。



「・・・・い。おい!」