そう言って市谷を見ると、ちょうど目があった。

そして無意識に逸らしてしまう。

・・・・昨日。

男に『ファーストキスの相手だ』と告げられて、俺は動きが停止した。

それ以上、なにも聞かなかった。

いや、いっぱい聞きたいことがあったのに

ショックが大きすぎて上手く言葉がでなかったんだ。

そうこうしているうちに、電車は自宅の最寄り駅に着き、

俺は二人をおいて電車をおりた。


「ホントなんだって!聞いてる?章吾!!」

「・・・・え?あ~なに?」

昨日のことを思い返していると、反応が少し遅れた。

「ホントのホントにいるんだって!

今日、登校してる姿を何人も見たんだから。

それでね、一緒に登校してたの!!」

「だれと?」

「ぼちたにさん。」

・・・・はあ!?

驚いて、また市谷をみる。