「っで、おまえは誰なんだよ。」

「藍田くん、この人は・・・・」

「俺は、」

市谷の言葉をさえぎる男。

ニヤッと口元をゆがませて

勝ち誇ったような表情。


「アズのファーストキスの相手だ♪」


え・・・・?

「ちょ、ちょっと!なんでそういうこと言うの?」

真っ赤になりながら男をポカポカたたく市谷。

否定、しない?

そうなのか?

ファーストキスの相手?

それって、彼氏ってこと?


うそ、だろ・・・・。

はじめて本気になった相手で

やっと仲直りできて

これからもっと距離を縮めようと思っていた矢先。

なんだよ、それ。

なんなんだよ、この状況。


俺をどこまで追い込んだら気が済むんだよ。

目の前に広がっていた道をなんの前触れもなく絶たれた気分だ。



男は、ニヤッと笑って俺を見る。

市谷は真っ赤なままうつむいてなにも言わない。


いつになったら、運命は俺の見方をしてくれるんだ・・・。