男は、俺より背が高い。

足も長くてスタイルはモデル並だ。

でも、顔はよくわからない。

大きなサングラスをかけているから。

髪は茶髪で軽く遊ばせていておしゃれ。

たぶん年上だ。

サングラスでわからないが、たぶんかなりの美形。

あと・・・どっかで見たことあるような顔。


「おまえこそだれ?」

俺が挑戦的に言うと、サングラスの奥の目が鋭くなった。

「俺は、おまえに名乗れって言ってんの。

名前は?愛樹(あず)とどういう関係?」

『口答えは許さない』と言った様子だ。

てか、さっきからちょっと思ってたんだけど"愛樹"ってだれ?

もしかして、市谷?

だって、それ以外考えられないし。

市谷って、愛樹って名前だったのか・・・。

知らなかった自分がなんか情けない。


「俺は藍田章吾。

市谷の・・・・」

ん?

ちょっと待て。

俺って市谷のなんなんだ?

彼氏ではない。残念ながら。

・・・・友達?

でいいのか?

でも、市谷は俺を友達と思ってるのか?

クラスメイトくらいにしか思われてなかったりして。

「友達だよ!」

俺が言う前に市谷が答えた。

そうか。友達かあ・・・・。

なんかちょっと複雑だな。

こうやってきっぱりと断言さけるのは。