「あの、じゃあ、また図書室来る?」

俺と、また一緒にいてくれる?

市谷はコクリと頷いた。

「わたしも、ごめんね。

藍田くんの理由とか聞かず、けっこうひどいこと言って。

それに、今日まで避けて。」

「そんなの、もういい。」

市谷が、こうしてまた俺に笑ってくれる。

それだけで、なにもかもがどうでもよくなる。

いっぱい落ち込んだし、へこんだし、めっちゃきつかった。

そんな日々も、この一瞬のためだったんだと思える。

馬鹿馬鹿しい。

大げさすぎるだろ。

自分をけなしてみても、にやける頬は我慢できない。


緩む口元を押さえて市谷を見ると

市谷も、笑っていた。

そして、俺と目が合った瞬間少し頬を赤くした。


可愛い。

そんな顔、だれにも見せるな。

あと、あんまり期待させるな。

無意識に、俺を引っ張りまわすな。


「仲直り、だね?」

少し首をかしげて俺を見上げる。

俺の目には市谷だけ可愛く見えるフィルターでも入ってるのか?

だめだ。

うれしすぎる。

市谷から聞けた『仲直り』の言葉。

うれしくてしょうがない。


俺は、またにやけながら頷いた。