「わたしじゃなくて、傷ついたのは藍田くんでしょう?」
そうだね。
俺は確かにかなり傷ついたよ。
絶望した。
でも、その後で救われたから。
今まで生きてきたのは、この瞬間のためだったんじゃないかって思えるくらい
それくらいの言葉をたくさんもらったから。
俺はそれで十分なんだ。
って、言えたらいいんだけどな。
市谷の言うとおりだ。
俺、かなり恥ずかしがりやみたいだ。
素直に言えない。
「いいんだよ、俺はもう。」
こんなことしか言えない。
「なんで!?」
だんだん怒ってくる市谷。
ホント、人のことばっかで怒るなあ。
俺はくすっと笑って市谷に近づく。
「だから笑い事じゃ・・・!」
握りしめるこぶしを一つとると、驚いたように俺を見上げる。
市谷の体温を感じる。
あったかい。
人って、こんなにあったかいのか。
もっと近くで感じたい。
市谷を見つめる。
相手は不思議そうに見つめ返してくる。


