理奈たちが出て行き、二人きりになる。
「藍田くん・・・。」
「ん~?」
「聞いてたんでしょう?」
「なにが?」
「わかってるくせに。」
俺から顔を背け、小さくため息をつく。
「市谷。」
はじめて、本名を呼んだ。
相手もびっくりしている。
「な、なに?」
ドモってるし・・・・。
ちゃんと名前呼んだだけで、動揺しすぎだろ。
「ありがとな。」
「・・・・。」
なんか言えよ。
「わたし、礼言われるようなことしてないよ。
ありのままを伝えただけ。
もったいないと思ったから。」
「もったいない?」
「・・・・もったいないよ。
藍田くんって人をちゃんと知らないなんて。
せっかく出会えたのに、もったいない。」
その言葉を聞いて、やっぱりニヤける。
「なに笑ってるの!?」
笑われたことが不服らしい。
「いや・・・ありがとう。」


