「あなたたち、いろいろ間違ってる。」
ぼちたにの声・・・。
「まず、藍田くんはものじゃないから、
そんな、宝石みたいな言い方はおかしい。」
聞いたことないほど、凛とした、いつもより少し低い声。
「あと、それから、わたしは藍田くんをかっこいいとは思わない。」
え・・・・?
ちょっと、それはがっかりなんだけど。
「人気者だとは思う。あと、運動神経いいのかは、知らない。
そんなことはどうでもいいの。」
どうでも、いい・・・。
俺の外見、周りの評価はどうでもいい・・・・。
驚いて、一瞬目を見開いた。
「藍田くんは、とっても優しい。
みんなのことをすごく思ってて、みんなが明るい気分になるような言動をする。
いつも笑顔で、いっぱいおもしろい話をしてくれて
それこそ、こんなわたしのことも気にかけてくれる。
すっごくすっごく優しい人。」
・・・・・。
ぼちたにの言葉が、どんどん俺の体に染み渡る。
絶望の底から、ゆっくり温かく、俺を引き出してくれる。
「だから、人気者なの。外見なんて、そんなの関係ない。」
外見なんて、関係ない・・・・。
それは、俺が一番ほしかった言葉だったのかもしれない。
俺が待ち望んでいた言葉だったのかもしれない。
「ふっ・・・」
うれしさがこみ上げて、俺は一人小さく笑う。


