「じゃあ、なんでしゃべらないの?」
「俺、そんないっつもしゃべってる?」
なんのためらいもなく頷かれて、少なからず落ち込む。
「・・・うるさい?」
そう聞かれて頷くような奴じゃないことはわかってるのに
予想どおり首を横にふってくれて安心した。
「楽しいよ。
藍田くんの話は、わたしの知らない世界の話ばっかりで、すごくおもしろい。
疑似体験してるみたいに、話し上手だし。」
そこまで誉めなくていいのに。
でも、たぶん、ぼちたには誉めてるつもりないんだろうな。
ぼちたにについて、わかってきたことがある。
ぼちたには、思ったことをありのまま言うんだ。
飾ることなく、そのまま。
だから、ぼちたにの言葉は信じられる。
「ありがとう。」
「・・・藍田くんだって、すぐお礼言うじゃん。」
「いや、ここはお礼言うところだから。」
「だから、わたしもちゃんと言うべきところで言ってるよ?」
ぼちたにには、いくら説明してもわかんないんだろうな。
「はいはい。」
軽くあしらうとやっぱり不服そうだった。


