そんな考えがあったから、朝、教室に入り、まっすぐに章吾の席へ向かった。

ぼちたにも、章吾も、もうお互いの席についていて

二人ともスマホを見ている。

ぼちたには、あのながーい髪のせいで全く表情は見えないけど

章吾の方は誰がどう見ても上機嫌。

スマホでなにか打ちながらニヤつく頬を隠そうともしていない。

こんなに章吾がにやけていることなんて今までなかったから、クラスの奴らも若干気にしているけど、当の本人はスマホに夢中。

「きもちわりい顔してるぞ~?章吾。」

章吾の向いにしゃがみこんで、机に両肘をついた。

「おはよう、玲二。」

こんなににこやかなこいつを、結構な時間一緒にいるけど、俺は初めて見た。

しかも、俺が「気持ち悪い」ってはっきり言ってるってのに、反論もしてこない。

ますます気持ちわりい。

「早速、昨日できた彼女とLINE?」

「まーね。正確には昨日じゃないけど。」

俺に一瞬目を向けると、またスマホへ。

昨日じゃない?

「え?どゆこと?」

「こっちの話。てか、マジ可愛すぎて困ってる。」

こいつ・・・のろけるタイプかよ。

あと、こっちの話ってなんだよ。まあ、そこまで問い詰めるのめんどくさいし、いっか。