「愛樹、手つなご!」
「無理です。」
「なんで?恋人なのに。」
「・・・心臓が持たないもん。」
真っ赤な顔のままそう言ってちらっと俺を見る茶色の瞳。
俺の理性なんて、昨日から全く役に立たないみたいで、
そのまま手を引いて路地裏に愛樹を連れ込んだ。
「ちょっと、なに?」
建物の外壁との間に愛樹を閉じ込めて、そっと眼鏡をとる。
「・・・ねえ。」
「な、に・・・?」
「なんでそんな可愛いの?」
「は?」
「俺のこと殺す気?」
絶対、いつか俺死んじゃうわ。
「意味がわかりません。」
「うん。じゃあ、キスしよっか。」
「それこそ意味がわからない。
もう、藍田くん。バカなこと言ってないで、学校いこ?遅刻しちゃうよ。」
そう言って俺の腕の中から逃げようとするけど、そうはいかない。
引き留めて、もう一度閉じ込める。