胸倉をつかまれて、呼吸も苦しいのに

俺は冷静だった。

愛樹に会いたい・・・。

愛樹に話したい・・・伝えたいことがある。

今すぐに、いわなきゃだめだ。できるだけ早く。

和樹に、頼むしかない。

「和樹さんに話す必要はないです。俺が、愛樹と話します。」

「ああ!?」

俺の答えにやはり納得いかないようで「ふざけんなよ?」と低く言い放つ。

「ふざけてません。

俺が、直接、愛樹にちゃんと言わないとだめなんです。だから・・・」

そこで初めて、俺は和樹の腕をつかみ、胸倉から離した。

「愛樹に会わせてください!」

そのまま深く頭をさげる。

俺は愛樹の家を知らない。

和樹に頼むしか、方法はないんだ・・・。

頼む、和樹!!!